【泥面子〜出逢い篇〜】

それは小学3年生の頃、ある曇りの日の休み時間だった。
友達が前日「近所の畑で土器片を見つけた」と言って
「おはじき」や「三つ巴模様」の土器片を見せてくれた。

僕が通っていた千葉県船橋市立金杉台小学校には
確か職員室の前に大きな土器が展示されていて
校内の敷地から出土した時の写真もあった。

そんな事もあって学校に展示されてるような
土器も見つけられるかもしれない…と思った僕らは
早速、放課後3〜4人の友達と発掘調査に出掛けた。

そう気分は発掘調査隊そのものであった。

発掘現場は「金杉自然の森」に隣接する畑。
現場に到着するなり土器を探しはじめた。
当時9歳の調査隊長M君が「おはじき」と呼ぶ1.5cmくらいの
丸い土器片はちらほら散らばっていたが
「おはじき」には目もくれず大物狙いで探索していると
「おはじき」よりの2倍ほどの大きさの歪んだ土器片を発見した。

何も描かれていないその土器片をひっくり返すと何と
無気味な表情のお爺さんのような顔が現われギョっとした。

「うお、みっくん(僕のアダ名)すげえ、『ひょっとこ』だよソレ!」
と、調査隊長M君が僕が発掘した物を羨ましそうに見入っていた。
小3の僕は「ひょっとこ」という存在すら知らなかったが
調査隊長M君は所謂「物知り博士」で、ひょとこを知っていた。

僕は誇らし気に「ひょっとこかあ」と悦びながらも
内心「何か変な顔で気味悪いなあ」と思っていた。
(↑9歳児の印象で、今はむしろ愛らしいです☆)

以来、この「ひょっとこ」の正体は何だろうかと思っていた。
特にオーパーツ系の話が好きな人にコレを見せる度に
語り尽くせない真実がもどかしく、その正体が知りたかった。

2004年、秋の夜長に重い腰を持ち上げてGoogleで調べてみた。

「ひょっとこ 土器」・・・全く手掛かり無し
「ひょっとこ 発掘」・・・擦りもしない
他にも思い付くワードを色々と入力するも尽くハズレ…

ところが・・・
「ひょっとこ 出土」で検索してみたところ、
似たような土器片が幾つも掲載されてるページを発見。
その内容をじっくり見てみると「泥面子」と記されている。

「泥面子〜ドロメンコ〜」とは
 江戸時代中期から幕末にかけて流行した元々は大人の博打で
「穴一遊び」という地面に穴を堀り、その穴めがけて銭を投げ
 穴に入れば自分のものとなるという、メンコの先駆けとされ
 子供達の間で広まった際に、銭の代わりに土で作った面子が
 泥面子としてお目見えした…という事らしい。

 当時から人気歌舞伎スターなどを模したものが売れ筋で
 この「ひょっとこ」のような面形も色々あったようだ。
 お面を小さくしたようなモノ=お面の子供バージョン
 →『面子』だとも云われているそうです。

これがメンコの祖先だったとは・・・。
26年間も抱き続けた小さな浪漫が遂に解明された瞬間だった☆

その後、「泥面子」で色んなページを調べてみたが
その出来映えには雲泥の差があるようだ。

今の所、僕の「ひょっとこ」より面構えが良いものは
見当たらない(親バカみたいだが…)。
イヤ、でも本当に作りも表情もモノ凄く良いのです。

改めて写真を撮ってる時に気付いたのだが
なぎら健一さんに似ている・・・命名:ナギラ〜☆

1978年発掘


〜その後に蒐集した泥面子コレクション〜

   
     
     
   
     



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