人類とチンパンジーは共通の祖先から枝分かれし進化したという 「ダーウィンの進化論」をテーマに造形された作品。 人類は時に「我々は何処から来て、何処へ行くのだろう」 などといった事を永遠のテーマのように思い悩む時があるが そんな思い悩む人類に「まぁ、そんなに深く考えなさるな」と チンパンジーが励ましているかのようである。 チンパンジーや他の動物達は思い悩むどころではなく ただ生きるのに必死なのである。
側面の地盤は、未完成のジグソーパズルのように ピースが嵌まっていない箇所があり それは未発見やら未知なる歴史の 空白部分として表されている。 鹿角の枝分かれ部分を用いて 人類とチンパンジーの進化の分岐点を表し 底部分には共通祖先とされる 太古の類人猿「プロコンスル」の頭骨がある。
着物には色目使いが従えているかのような 蝙蝠が妖艶な柄として描かれている。
『のっぺらぼう』(鹿角)
狸がのっぺらぼうに化けたつもりが 「何かがおかしい!」と考え込んでいる。 尻尾が出たままで、片方の足も狸の足のまま 実際に不完全な変化(へんげ)なのである。
「のっぺらぼう」という顔の表情が無い妖怪を題材に 無表情な者でも実際には悩みを抱えている様子を ポーズや雰囲気で表す事に挑んだ作品である。
そんな「空蝉」を題材に彫られた本作。 残された襠には蝉の脱け殻の形が浮き出ている。
この女性は源氏を避けてはいたが、心中は 「結婚していなければ受け入れたのに...」 というような思いできっと揺れていたのであろう。 裏側はそんな切ない心模様が形に表わされている。
表側には8分音符で棒渦巻き銀河の腕を、 裏側は8分休符が境となって男女の横顔が 半抽象的なイラスト風に描かれている。 音楽はラブソングが多くのテーマになっている事から 「男女の愛と哀」を表したような表情になっている。
※渦巻き銀河とは:中心を2本の腕が取り巻くように渦巻き状になって腕が伸びている形の銀河。 ※棒渦巻き銀河とは:中心を貫く棒状部分の両端から渦巻き状になって腕が伸びている形の銀河。