〜2009年〜

『永遠のテーマ』(鹿角)


人類とチンパンジーは共通の祖先から枝分かれし進化したという
「ダーウィンの進化論」をテーマに造形された作品。

人類は時に「我々は何処から来て、何処へ行くのだろう」
などといった事を永遠のテーマのように思い悩む時があるが
そんな思い悩む人類に「まぁ、そんなに深く考えなさるな」と
チンパンジーが励ましているかのようである。
チンパンジーや他の動物達は思い悩むどころではなく
ただ生きるのに必死なのである。

側面の地盤は、未完成のジグソーパズルのように
ピースが嵌まっていない箇所があり
それは未発見やら未知なる歴史の
空白部分として表されている。

鹿角の枝分かれ部分を用いて
人類とチンパンジーの進化の分岐点を表し
底部分には共通祖先とされる
太古の類人猿「プロコンスル」の頭骨がある。

〜高円宮コレクション〜


『妖怪 色目使い』(鹿角)



色目を使って人をたぶらかす「妖怪〜使い」シリーズの第2弾。
「今日はあたしも一緒にお供させてくださいな。」 と
作品の持ち主に訴えるような目付きで
色っぽさの中に妖しさと、かわいさが同居する妖かしは
一風が得意とする妄想の産物である。
(一風がこのような妖かしにたぶらかされたいのか、好みなのかは不明)

着物には色目使いが従えているかのような
蝙蝠が妖艶な柄として描かれている。


『のっぺらぼう』(鹿角)




狸がのっぺらぼうに化けたつもりが
「何かがおかしい!」と考え込んでいる。
尻尾が出たままで、片方の足も狸の足のまま
実際に不完全な変化(へんげ)なのである。

「のっぺらぼう」という顔の表情が無い妖怪を題材に
無表情な者でも実際には悩みを抱えている様子を
ポーズや雰囲気で表す事に挑んだ作品である。



『空蝉〜うつせみ〜』(象牙)


「空蝉」とは・・・
源氏物語に登場する慎み深く地味な既婚の女性。
ある夜、光源氏に求愛されるが襠1枚を残して逃げ
蝉が脱け殻を残す事に喩え空蝉と名付けられる。

そんな「空蝉」を題材に彫られた本作。
残された襠には蝉の脱け殻の形が浮き出ている。

この女性は源氏を避けてはいたが、心中は
「結婚していなければ受け入れたのに...」
というような思いできっと揺れていたのであろう。
裏側はそんな切ない心模様が形に表わされている。


『音宇宙〜おとそら〜』(象牙)



渦巻き銀河のような形状で、音の波が渦巻く「動」(表側)と
波紋が静かに拡がっていくような音を「静」(裏側)として
それぞれ表わされた饅頭根付。

表側には8分音符で棒渦巻き銀河の腕を、
裏側は8分休符が境となって男女の横顔が
半抽象的なイラスト風に描かれている。
音楽はラブソングが多くのテーマになっている事から
「男女の愛と哀」を表したような表情になっている。

※渦巻き銀河とは:中心を2本の腕が取り巻くように渦巻き状になって腕が伸びている形の銀河。
※棒渦巻き銀河とは:中心を貫く棒状部分の両端から渦巻き状になって腕が伸びている形の銀河。

 


『蝸牛歩〜かぎゅうほ〜』(鹿角)


蝸牛という字に牛が当てられている所から
制作年の干支「丑年」に因み、蝸牛を
「ゆっくりとでも力強く進もう!」という姿で
雄々しい闘牛のように表わされている。

蝸牛が這いつくばった跡はキラキラと輝いており
作品を通して一風自ら「輝く軌跡を残そう」という
強い気持ちが込められているかのようである。


『愛憎』(鹿角)



源氏物語に登場する六条御息所を題材に
表はすさまじい嫉妬心を「陰の面」として表し
裏は束の間とはいえ光源氏の愛情を感じられた
野宮での再会のシーンで「陽の面」とした作品。

鹿角の使い方が工夫されており
髄のブツブツとした質感を巧く活かし
モンスターのように仕上げられている。

〜京都清宗根付館蔵 〜


『美神〜びじん〜』(象牙)



「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。」という
美人の条件を織り込んだ百花繚乱のオーダーを
一風のフィルターを通して作られた作品。


横たわる裸婦のシルエットに、40種類以上の花を選び
どの部位にどの花を入れるか吟味され配置されている。
(顔に向日葵 、胸に石楠花、尻に牡丹、肩に百合、背中に芍薬)
「女性を花で表した女神」のようなイメージに仕上げられている。

〜 内山コレクション 〜


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