〜2008年〜

『虎班木兎』(タグアナッツ)


タグアナッツの外皮を模様として活かせるよう
外皮を残して彫ってみたら面白いのではないか...
と思いついたのが、この作品のきっかけだったと云う。
その為、素材が判るように、タグアナッツの形も活かし
ほとんど崩さずに、意匠の方をシンプルにまとめあげ
素材の中に巧く織り込まれた作品となっている。

〜高円宮コレクション〜


『共生』(鹿角)



ヤドリギが子孫を残すその術は
ヒレンジャクにその実を食べてもらい
他の場所で排泄する事によって
種が樹木にて寄生、発芽するという仕組み。
ヒレンジャクも餌を提供してもらえる利点があり
またヤドリギも寄生した木を殺してしまう事はなく
上手く利用し共生・共存している。
ヤドリギは友愛の象徴ともされており
その下にいる女性にはキスをしても良いそうです。
この作品は3つの命の共生が表されている。

〜高円宮コレクション〜


『明日』(象牙)



夕日に映えるは黄金色に輝く雲とすすき、
裏には紅葉したもみじと蔦とそれを照らす夕月。

秋の静かな夕暮れ景色を好む一風が
夕日を眺めながら物思いにふけっている中で
日が暮れて明日が来るのは当然の事ではなく
夜が明けて再び太陽を拝める奇跡に気付き
2度と同じようには見られない夕焼け空を
自らの目に焼き付けるかのように
その景色が彫り込まれた作品。

〜京都清宗根付館蔵〜


『くつろぎの宿』(象牙)



登山靴を巣の代わりに暖をとる雷鳥親子。
雛鳥を見守る親鳥の表情から察するに
巣立ちに備えた会話でも聞こえてきそうで
くつろぎの景色の中に温もりが溢れる作品。

御依頼主様が登山中に雷鳥と遭遇された経験を元に
一風の世界観が添えられた作品となっている。

〜内山コレクション〜


幸せ三昧(象牙)


見つけると幸せが訪れると伝えられる四つ葉のクローバー
反対面には三つ葉のクローバーが合わされており
「四合わせ三枚」=『幸せ三昧』と洒落た作品で
このような愛らしいモチーフもまた一風の一面である。


しっぽ(象牙)


猫好きの御依頼主様に応えたチンチラがモデルの小根付。

後方の「しっぽ」と前方の「赤い毛糸玉」が一体化しており
しっぽがブラブラと揺れる事で、前の赤い毛糸玉が
転がっているように見える仕組みになっている。

紐穴にチェーンを通せばペンダントヘッドとしても使える。



幻夏(鹿角)



蚊取りブタをモチーフとした夏物の根付。

内側には(蚊取り線香ではなく…)
御依頼主様が好まれる海の風景を配し
瞬く間に過ぎ行く夏を嘆いているかのようだ。

蚊取りブタの目の穴からは涙の代わりに煙が
浮かび上がり、儚さが演出されている。
鹿角による陶器の質感も如何にも一風らしい。

〜内山コレクション〜



遠吠え(鹿角)



古来から神の眷属として崇められ
火難、盗難除けのご利益があるとされ
大口真神(おおぐちのまがみ)とも呼ばれる狼。

狼の下には炎、牡丹、もみじがあり
牡丹は猪、もみじは鹿を意味している。
彼らは農民にとって作物を盗む厄介者、
炎、牡丹、もみじを踏みつけているのは
火難、盗難除けの意味が託されている。

悲しげに遠吠えする姿には、呼んでも仲間が
応えてくれない孤独感を表しているかのようで
「本当にニホンオオカミは絶滅してしまったのだろうか、
何処かで人目に触れずひっそりとでも生きていて欲しい…」
そんな一風の想いが織り込まれている。




ウマヅラ(タグアナッツ)



日本には古来より「月に蝙蝠」という図柄がある。

ウマヅラコウモリはバナナ等の果実を食する事から
バナナを月に見立て、コウモリにくわえさせる事で
この驚愕の面構えの中に愛嬌をもたらせてしまう…
一風ならではの「月に蝙蝠」であろう。

くるりと剥いたバナナの皮の部分が紐穴となっている。


〜京都清宗根付館蔵〜


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