〜1996-98年〜

『魔除け獅子』(黄楊)1996年


唐獅子の右前足で押さえ込まれた鬼が
許しを請う意匠は、一風自身が抱いていた
魔性を、鬼そのものとして表したもの。
残りの三本の足で「邪視・災難・病い」の珠が
それぞれ踏みつけられ、歪められている。

一風にとって二作目となる本作は
初々しさの中に彫り手の想いが溢れており
市場に出ている中では最初の作品となる。

〜扇蔵〜

『獅子吼』(黄楊)1997年

悪行坊主が読経している最中
襖の絵から抜け出した獅子が
吠えかかりこらしめた。
そんな逸話を題材にした作品。

『至福の酔』(象牙)1997年


グリフィンが宝物を眺めながら酒を呑んでいるという姿。
一風自身の制作当時の姿と重ね合わせている私作品。


『福は何処』(象牙)1998年

豆に空いた穴を覗く鬼・・・実は
その豆の中には福が微笑んでいる。

「鬼だって幸せを探し求めている」
鬼を好む一風らしい洒落である。

〜1998年/東京都知事賞受賞作品〜

大陰嚢権現 (黄楊) 1998年


一風の住む町で、たくさんの狸が
交通事故に遭遇している事に心を傷め
供養の意を込めて創られた作品
狸が密教の仏尊風に彫られている。

〜扇蔵〜

『般若不動』(象牙)1998年

おどろおどろしさと切なさを
合わせ持つ一風の妖かしが
如実に現われた般若面。

裏面に不動明王が彫込まれた
極めて私的な作品である。


〜くりから工房コレクション〜

〜余談〜
実は一風が般若を彫るのは2作目。処女作は1994年に彫られ
管理人の自宅で所蔵しているが、一風の意向により非公開。

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